抗真菌の種類は少なく、4系統しかありません。人間と真菌の細胞の構造が似ているため、真菌にだけ効く薬というのが発明しにくいというのが理由です。
抗真菌薬は以下の4系統に分けられます。
- ポリエン系抗真菌薬
- アゾール系抗真菌薬
- フロロミジン系抗真菌薬
- キャンディン系抗真菌薬
以下それぞれの系統の特徴について記載します。
ポリエン系抗真菌薬
ポリエン系抗真菌薬は、真菌の細胞膜にあるエルゴステロール化合物を破壊します。
真菌の細胞膜はエルゴステロールと呼ばれるステロイド化合物で構成されています。

エルゴステロールを破壊されると、細胞膜に穴があいて細胞に必要な成分が外へ漏れます。その結果、真菌細胞は死滅するのです。
代表的なポリエン系抗真菌薬
- アムホテリシンB(商品名:ファンギゾン)
- ナイスタチン(商品名:ナイスタチン錠50万単位「明治」)
- ナタマイシン(商品名:ピマリシン)
アゾール系抗真菌薬
アゾール系抗真菌薬は真菌の細胞膜に必要なあるエルゴステロール化合物の合成を邪魔する薬です。
上述したように、真菌の細胞膜にはエルゴステロールが必要不可欠です。
そのエルゴステロールを作らせないようにしようというのがアゾール系抗真菌薬です。
エルゴステロール自体の合成を阻止できれば、真菌は増殖できずに死滅します。
代表的なアゾール系抗真菌薬
- ミコナゾール(商品名:フロリードF、エンぺシドなど)
- フルコナゾール(商品名:ジフルカン)
- イトラコナゾール(商品名:イトリゾール)
- ボリコナゾール(商品名:ブイフェンド)
フロロピリミジン系抗真菌薬
フロロピリミジン系抗真菌薬は核酸(DNAやRNA)の合成を邪魔することで真菌細胞を増殖できないようにする薬です。
細胞の元となる核がなければ細胞は新しく作ることができません。

フルシトシン系抗真菌薬は内臓に発症したカンジダ症や呼吸器疾患であるクリプトコックス症で力を発揮します。
代表的なフロロピリミジン系抗真菌薬
- フルシトシン(商品名:アンコチル)
キャンディン系抗真菌薬
キャンディン系抗真菌薬は真菌細胞の細胞壁の合成を邪魔することで真菌細胞を殺す薬です。
真菌の細胞壁を合成するグルカンと呼ばれる糖で構成されています。
キャンディン系抗真菌薬ははこのグルカンを構築させないようにして細胞壁を合成できないようにします。
細胞壁がなくなると真菌細胞は形を保てなくなり、死滅します。
人の細胞と真菌の細胞は似ていると先述しましたが、一番大きな違いはこの細胞壁の有無です。

したがって、上記の薬よりも真菌性の疾患に対しては強い効果を発揮するのです。
代表的なキャンディン系抗真菌薬
- ミカファンギンナトリウム(商品名:ファンガード)
- カスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス)