陰茎海綿体注射(一般名:アピスタンディン)を利用すると稀に副作用が起こります。なかでも危険な副作用は持続勃起症です。
アピスタンディンの国内での副作用データなし
日本国内では(アピスタンディンを陰茎海綿体に投与した場合)副作用の発現頻度の調査は行われていません。

アピスタンディンの添付文書にも、陰茎海綿体内投与による副作用は頻度不明とされています。
【アピスタンディンを陰茎海綿体に投与したときの副作用】
頻度不明 | |
過敏症 |
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泌尿・生殖器 |
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注射部 |
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循環器 |
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消化器 |
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その他 |
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海外の調査データでは、副作用の種類に加え、発現頻度の調査も行われました。
注射を受けた患者の半数に、陰茎の痛み(陰茎痛)があらわれていました。
【陰茎海綿体にプロスタグランジンE1を注射した際の副作用】
副作用の種類 | 発現頻度 |
陰茎痛 | 50% |
勃起の遷延(4~6時間) | 5% |
持続勃起症(6時間以上) | 1% |
海綿体線維化 | 2% |
不整脈・めまい・顔面紅潮など | 1% |
参考資料:陰茎海綿体の解剖と勃起のメカニズム / 東邦大学医学部泌尿器科学講座 永尾光一:PDF
最も危険な副作用は持続勃起症
陰茎海綿体注射の副作用のなかで、注意すべきなのは持続勃起症です。
持続勃起症を発症すると、痛みを伴う勃起が何時間も続きます。
海綿体が線維化を起こし、重度のEDになる危険性もあります。
勃起が長時間続くと海綿体が壊死する危険性がある
持続勃起症とは、性欲や興奮とは無関係に、勃起が6時間以上にわたって続く症状です。
持続勃起症が起きる原因は、血管や赤血球、神経に異常が生じることで、血液が入れ替わらずに陰茎のなかに閉じ込められるからです。
酸素を含んだ血液が流れ込まなければ、陰茎は酸欠と同じ状態になります。

酸欠状態を何時間も放置してしまうと、陰茎の海綿体が徐々に壊死しはじめるのです。
海綿体が線維化を起こすと重度のEDになる
壊死した海綿体が線維化しはじめると、血管機能自体が失われて、重度のEDになります。
線維化とは、損傷を治すための組織が異常に増えてしまい、正常な組織を壊してしまうことを言います。

線維化してしまった海綿体を治すことは不可能です。
海綿体が血管機能を失うと、陰茎海綿体注射をしても効果はありません。
陰茎海綿体注射は、陰茎の血流を活性化させることで、勃起を促すからです。