禁煙

タバコは肺と脳と心臓にどのような悪影響を及ぼすのか?

タバコは、重大な健康被害を引き起こす強力な神経毒性を持つ製品として知られています。タバコ喫煙によって生じる主な健康被害は、肺、脳、そして心臓に及ぶものです。

以下に、それぞれの部位に対するタバコの悪影響について解説します。

タバコ喫煙によって、肺が最も損傷を受ける部位です。

タバコ煙には、発がん性物質や有害な化学物質が含まれており、呼吸器系に重大な健康被害を引き起こすことが知られています。喫煙することで肺が受ける悪影響の主な症状は、以下のようになります。

肺癌

タバコ煙には、発がん性物質であるタールやアルデヒドなどが含まれています。これらが肺に蓄積されることによって、肺がんを引き起こすことがあります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

タバコ煙は、肺の気道を炎症させることで、気道の拡張を妨げることがあります。これがCOPDを引き起こす原因になります。COPDは、気道の閉塞によって呼吸が困難になる疾患で、慢性的な咳や喘鳴、痰の発生などがみられます。

肺気腫

タバコ煙の有害な化学物質は、肺を破壊することがあります。これによって、肺の弾性が失われ、呼気が困難になる疾患である肺気腫を引き起こすことがあります。

タバコ煙に含まれる有害物質は、脳にも悪影響を及ぼします。主な症状は、以下のようになります。

脳卒中

タバコ喫煙は、高血圧や動脈硬化などのリスクを引き起こすことがあります。これによって、脳血管の狭窄や破裂が引き起こされ、脳卒中を引き起こすことがあります。

認知症

タバコ喫煙は、血管を収縮させることで、脳の血流を妨げることがあります。これによって、認知症を引き起こす可能性があります。

心臓

タバコは、喫煙中に吸い込まれた有害物質が血管内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を進めることが知られています。心臓と血管系の機能を支配する自律神経に直接作用し、血流を制御する神経を妨害することで、心臓の様々な機能に悪影響を与えます。以下では、タバコによる心臓への悪影響を順に説明していきます。

動脈硬化の進行

タバコに含まれるニコチンは、交感神経の刺激を増加させ、心拍数を上昇させます。これにより、心臓の負担が増加し、コレステロールや脂肪酸が血管壁に蓄積され、慢性的な炎症反応を引き起こします。このような状態が長期間続くと、血管が狭くなり、血液の流れが悪くなります。この現象が、動脈硬化の進行を促し、冠動脈疾患や脳卒中を引き起こすリスクを高めます。

心筋梗塞

心筋梗塞は、冠動脈の中で血流が滞留して、心臓の一部が死滅する現象です。タバコは、心臓への血流を低下させることで、心筋梗塞を引き起こすリスクを増加させます。喫煙者の中でも、特に多くの人が心筋梗塞を発症するため、禁煙は重要です。

不整脈

タバコは、心拍数を上昇させることで、心臓のリズムを乱す不整脈を引き起こす可能性があります。ニコチンは、心拍数を増加させるだけでなく、心筋の興奮を抑制することもあります。このため、心臓のリズムが乱れ、不安定になる可能性があります。

血圧の上昇

タバコには、ヨウ素や鉛などの有害物質が含まれています。これらの成分は、血管内皮細胞に悪影響を与え、血管の壁を狭くすることがあります。また、ニコチンは、交感神経の刺激を増加させることで、血圧を上昇させます。長期的に喫煙を続けることで、高血圧を引き起こす場合があります。高血圧は、心臓の負担を増加させ、冠動脈疾患や心筋梗塞を引き起こすリスクを高めます。

心臓機能の低下

タバコに含まれる一酸化炭素は、ヘモグロビンと結合し、酸素を含む血液の運搬能力を低下させます。このため、心臓に十分な血液を送ることができなくなり、心臓機能の低下が予測されます。

まとめ

タバコには神経毒性があり、肺、脳、心臓に深刻な健康被害を引き起こします。肺には肺癌、COPD、肺気腫を引き起こすことがあります。脳には脳卒中、認知症を引き起こすことがあります。心臓には、ニコチンや有害物質が動脈硬化を進め、血管内皮細胞を傷つけることで、動脈硬化の進行、心筋梗塞、不整脈、血圧上昇、心臓機能低下などの健康被害を引き起こします。