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アンドロゲン補充療法で用いられる薬剤と副作用

アンドロゲン補充療法は、男性更年期障害の諸症状を治します。治療を継続することで、男性ホルモン値を上げられる体内環境も整います。

注意すべき副作用は、多血症や前立腺疾患の悪化です。

男性ホルモンの作用で、体毛が濃くなったり、頭部に脱毛症状があらわれたりします。

アンドロゲン補充療法に用いられる薬剤

アンドロゲンを補充する方法は注射や塗布です。

健康保険が適用される注射薬や、薬局やドラッグストアでも購入できる塗り薬を紹介します。

エナント酸テストステロン注射

エナント酸テストステロンは、アンドロゲン補充療法の第一選択薬とされています。

治療の間隔は、2週間から4週間に1回です。

10回を1クール(5か月~9か月)としています。

1クール終了後は、1か月ほどの期間を置いて、再びホルモン状態の検査を行うのです。

テストステロン値が回復に向かっていれば、漢方薬やサプリメントなどの治療に移行します。進んでいなければ、アンドロゲン補充療法をもう1クール行うのです。

2021年現在、アンドロゲン補充療法では、エナント酸テストステロン注射のみ保険が適用されています。

しかしエナント酸テストステロン注射は、血栓塞栓症などの治療でワルファリンカリウム等の抗凝血剤を服用していると、使用できません。

胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)注射

hCG注射薬は、血栓塞栓症などの治療で抗凝血剤を用いており、エナント酸テストステロ注射薬の使用が難しい場合に用いられるのです。

hCG注射薬を使った治療法では、週に1回から2回は注射を打たなければなりません。

エナント酸テストステロンと比べると頻繁に病院へ行く必要があるので、手間がかかる治療法です。

また、保険適用外の医薬品であるため、費用がかさみます。

男性ホルモン軟膏

男性ホルモン軟膏を使えば、薬を肌に塗り込むだけで、アンドロゲン補充療法が行えます。

軟膏治療は、注射治療に比べて効果は劣るものの、患者自身が手軽に処置できるという点で、注射より優れています。軟膏は陰囊(いんのう)やあごの皮膚に用います。

男性ホルモン軟膏には処方せん薬はありません。大東製薬工業株式会社から、市販薬が販売されています。

薬局やドラッグストアで購入できます。

前立腺疾患の患者が軟膏を使うと、症状が悪化する可能性があるので注意が必要です。

アンドロゲン補充療法の副作用

アンドロゲン補充療法は、薬剤によって男性ホルモンを補充するため、多血症などの副作用を引き起こす危険性があります。

アンドロゲン補充療法の副作用である、多血症や前立腺疾患の悪化、体毛の増加や頭部の脱毛についても見ていきましょう。

多血症

アンドロゲン補充療法により男性ホルモンが増えると、アンドロゲンの造血作用により、多血症になる可能性があります。

多血症とは、赤血球が異常に生産される病気です。主な症状は、疲労感や脱力感、頭痛などが挙げられます。

多血症になると、血管が詰まってしまう血栓症を併発させるのです。

血栓症は、心臓発作や脳卒中を引き起こします。アンドロゲン補充療法を行いつつ多血症を避けるためには、普段から水分を多めに摂りましょう。

それでも防げない場合は、瀉血(しゃけつ)や献血などで血液を抜きます。

前立腺疾患の悪化

アンドロゲン補充療法によって、前立腺疾患が悪化する可能性があります。

男性ホルモンは、前立腺がんを進行させたり、前立腺を増大させたりするのです。

日本泌尿器科学会では、前立腺疾患を患っている人にはアンドロゲン補充療法は行えないとしています。

市販の軟膏でアンドロゲン補充療法を行う場合は、事前に病院で前立腺疾患がないかの確認を行いましょう。

多毛・頭部の脱毛・にきび

アンドロゲン補充療法の副作用には、体毛やにきびの増加、頭髪の減少などがあります。いずれの症状も、男性ホルモンが増えることで起きるのです。

体毛の脱毛や頭髪の増毛などを行っている場合は、施術や治療に支障が出る可能性があります。アンドロゲン補充療法と併行できるか、医師と相談しましょう。