ニトログリセリン

ニトログリセリンってどんな薬?

ニトログリセリンとは、硝酸剤と呼ばれる薬の成分の一種です。

血流を改善する効果をもち、狭心症や心筋梗塞の治療に使われます。効果が強く、即効性が高いのが特長です。

ニトログリセリンは狭心症や心筋梗塞の治療に使われる

ニトログリセリンは、「硝酸剤」という薬に使われる成分の一種です。

硝酸剤は狭心症や心筋梗塞の治療に使われます。

硝酸剤はニトログリセリンの他に、「硝酸イソソルビド」や「亜硝酸アミル」という成分が使われています。

ニトログリセリンはもともと爆薬として作られた

ニトログリセリンは元々は爆薬として開発されました。

しかし後に、狭心症の症状を緩和する効果があるとわかり、薬としても使われるようになったのです。

ニトログリセリンが含まれた硝酸剤は添加剤が加えられているため、爆発することはありません。

ニトログリセリンは心臓の血管を広げ血流を改善する

ニトログリセリンは心臓の血管を広げ、血流を良くすることで、狭心症の発作を和らげる効果があります。

ニトログリセリンが体内で吸収されると、一酸化窒素が作り出されます。一酸化窒素が生まれることで、cGMPという物質が活性化し、血管の筋肉がゆるみます。

その結果、血管が広がり、血流が改善されるのです。

狭心症や心筋梗塞の主な原因は、老化や動脈硬化です。

血管が狭まり、心臓に血液が十分に送られなくなることで発作が起こるようになります。

ニトログリセリンは、狭まった血管を広げることで心臓の血液の不足を解消する

ニトログリセリンの特長

硝酸剤の有効成分は、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、亜硝酸アミルの三種があり、それぞれ特長あります。

ニトログリセリンの特長は、効果が強く即効性に優れていることです。

様々な形の薬が作られており、患者の体質や病状によって使い分けられます。

ニトログリセリンは効果が強いため急な発作に有効

ニトログリセリンが、硝酸イソソルビドや亜硝酸アミルと比べて優れているのは、効果の強さと即効性です。

例えば、ニトログリセリンを使った薬品の一つ「ニトロペン舌下錠」は服用からわずか4分で効果が最大になります。

狭心症になると、胸を締め付けられるような痛みが発作的に起こるようになります。ニトログリセリンは、狭心症の急な発作を鎮めるのに非常に有効なのです。

ニトログリセリンは様々な形で使われる

ニトログリセリンの薬は様々な形で使われており、形によって効果の現れかたに違いがあります。

以下の表は、ニトログリセリンの剤形とその特長についてまとめたものです。

ニトログリセリンの剤形

剤形使い方特長
舌下錠
  • 舌の裏で溶かす
  • すぐに効果が出る
スプレー
  • 口の中に噴射する
  • すぐに効果がでる
  • 唾液の少ない高齢者でも使いやすい
テープ
  • 上半身、または太ももに貼る
  • 体内にゆっくり吸収される
注射
  • 点滴で静脈に注射する
  • すぐに効果が出る
  • 急性心不全にも有効

なお、ニトログリセリンには飲み薬がありません。ニトログリセリンは肝臓で代謝されてしまうため、飲んでも無効化されてしまうのです。

テープは耐性がつき効かなくなることも

ニトログリセリンのテープタイプを使い続けていると、体に耐性ができる場合があります。

なぜ耐性ができてしまうのか、詳しい原因はまだはっきりとしていません。

いちど耐性ができると、12時間から24時間に渡り、効果が弱くなったり、効かなくなったりしてしまいます。

耐性がつかないよう、ニトログリセリンのテープは張り替える際、数時間の間隔を空ける必要があります。